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国際平和協力本部事務局(PKO)
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練馬区中学生啓発講座で講演して

平成23年12月
国際平和協力研究員
とちばやし のりまさ
栃林 昇昌

 12月2日、練馬区選挙管理委員会主催「練馬区中学生啓発講座」に講師として招待されました。今回講演を行う相手は、練馬区立関中学校2年生の皆さん。総勢200名近くもの元気な生徒たちに、講演を行いました。

  タイトルは、「国際協力と選挙―平和な国づくりを目指して―」。最近では、中学の社会科の教科書にも「国際協力」という言葉が出てきますが、国際協力とは何なのか、どういう人たちがどこでどういうことをやっているのか、授業の中で詳しく取り上げられることはあまりないようです。そこで、今回の講演ではまず、国際協力の概要をわかりやすく解説することにしました。

  国際協力には、大きく三つの柱があります。「平和維持・平和構築」、「人道支援」、「経済社会開発」です。講演では、これら三つの柱それぞれに関して、例を挙げながら特徴や違いなどを解説しました。

  続いて、私の専門分野でもある「国際選挙支援」とは何なのか、様々な国際協力のなかでどのように位置づけられているのか、国際選挙支援がなぜ重要なのかをお話しました。

 最後に平和な日本で行う選挙が私たちにとってなぜ大切なのか、生徒の皆さんが成人した後、選挙にどう関わっていくべきかについて、皆さんに深い理解と行動を求めました。生徒の皆さんが将来日本をどんな国にしたいのか、どのような社会にしたいのか、よく考えて投票したい人を選び、必ず投票するよう訴えました。

  私の講演では、いつも聴衆との対話を重視しています。言い換えれば、「聴かせる講演」ではなく「考えてもらう講演」といったところ。200人近い生徒の皆さん全員にマイクを向けることは無理ですが、予め用意しておいたスライドを用いながら、生徒の皆さんとの対話を楽しむことができました。

  例えば、経済社会開発の話では、現場でよく引き合いに出される漁師への開発援助の話を紹介。「持続可能な開発」という視点から、どういう援助をするのが適切か、考えてもらいました。生徒の皆さんが世界のある貧しい国で漁師に国際協力を行うことになったと想定し、「漁師の空腹を直接満たすために食料として魚を提供する」という意見と「漁師がもっと魚を獲れるように、新しい漁船を提供する」という意見の、どちらを採用すべきか。生徒の一人にマイクを向けると、周囲の友人となにやらこそこそ議論した後、後者の意見を支持しました。生徒の皆さんは、ただ漫然と話をきくのではなく、講師との対話との中で一生懸命考え、周りと小声で議論をし、最終的には話の内容に納得、理解をしてくれたことでしょう。

関中学校の2年生に講演する筆者のimg

関中学校の2年生に講演する筆者
(写真提供:練馬区選挙管理委員会事務局)

  今回、中学生啓発講座での講演をお引き受けした背景には、選挙権のない未成年に対する市民教育の実践という自分自身に課した大きな挑戦がありました。私は、市民・有権者教育を通じて、国際選挙支援が紛争経験国の平和の定着に重要な役割を果たしうると考えています。仮に、有権者のみならず選挙権をもっていない未成年に対して同様の教育、啓発を行うことによって、紛争経験国の平和の定着をより確固たるものにできるのであれば、今回の講演のように選挙権がまだ与えられていない青少年にも市民・有権者教育の対象を拡大する意義を見出すことができるでしょう。

  もちろん日本はいわゆる紛争経験国ではありませんので、今回の講演の成果から国際選挙支援に対して直接的に何かを提言できるものではありません。しかし、民主主義が何か、暴力とはどういうものなのか、選挙による政治的紛争解決の必要性をどう考えるか、言葉で説明してもなかなか実感したり理解したりしてもらえない若い青少年に自ら選挙啓発を行う挑戦の場として、今回の講演は大変有意義でした。

  限られた時間の中、駆け足で国際協力と選挙についてお話しましたが、話を聞く生徒の皆さんの熱い眼差しに、将来彼らの中から世界で活躍する素晴らしい人材が生まれる手ごたえを感じました。冬の寒い体育館で、最後まで熱心に講演を聴いて下さった関中学校2年生の皆さんには、期待と感謝の念を抱きます。

  開発途上国や紛争経験国では、国や社会を少しでも良くしたいという思いから、市民は選挙に対して大変な情熱を注ぎます。国際選挙支援は、そのような市民の思いを無にしないため、また市民の情熱が安易に暴力へと向かわないようにするため、国際社会が一致団結して行っています。将来、より多くの日本人が選挙支援のプロとして世界で活躍することを期待するとともに、日本国内においても、若い皆さんとともに選挙を通じて国や社会をよりよくしていきたいという思いを新たにしました。

  最後に、今回の講演にお招きいただいた練馬区選挙管理委員会事務局及び関係者の皆様、関中学校の教職員の皆様に、心より感謝申し上げます。

《練馬区立関中学校2年生の皆さんの感想》(一部抜粋)

  • 他の国(東ティモール)では、7時からの選挙のために朝6時から行列になるほど並んでいる人がすごいと思いました。日本では、選挙権があっても投票しない人がいるのに、そんなに投票しようと思えるのがすごいと思いました。
  • 自分も大人になったらきちんと選挙に参加して、支援できることがあれば協力したいです。
  • 平和のためには選挙が大切だということに驚きました。私も投票できるようになったら積極的に選挙に参加したいと思います。
  • 動画が印象に残りました。(途上国が)日本とは全然違うこと、日本が優れている点など、色々なことを学べました。
  • ただ物をあげるだけでなく、技術やその後も使える船などをあげるというのが、なるほどと思いました。
  • 人道支援の意味を初めて知ってとても大切だと思いました。自分も協力したいと思いました。

この他にも、たくさんの感想が寄せられました。生徒の皆さん、ありがとうございました。(栃林)

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