濟陽寿子:国際平和協力業務に携わる女性たち

国際平和協力業務に携わる女性たち(第2回)

濟陽寿子

濟陽寿子(わたようひさこ)
内閣府国際平和協力本部事務局

  • いま休みが取れたら?
    →和歌山で貴志川線のイチゴ柄電車に乗りたい。
  • 直したくない癖は?
    →行く予定もないのに、温泉地や海外旅行特集号の雑誌を買ってしまう癖。
  • 尊敬する理想像は?
    →物がない時代に何でもこなしていたおばあちゃん世代の女性。

Q. 現在は次長秘書として内閣府国際平和協力本部事務局(通称PKO事務局)へ出向されていますが、防衛省の事務官になろうと思ったきっかけは?

私の場合は選択を迫られた時に、まず思ったのが結婚後も仕事を続けていたい、でした。女性として公務員が働きやすいのではと思い、地元の公務員になろうと思っていたんです。けれど地元では採用枠が小さいことから、勧められるままに国家III種も受験して。そこで縁があったのが防衛省でした。当時は地元に残ることしか考えていなかったのですが。

Q. それが今は霞が関。小さいときから防衛関係に興味があったんですか?

いいえ。むしろ国際協力に興味をもっていました。中学時代のぼんやりした夢の一つが、青年海外協力隊だったんです。技術を身に付けて海外でボランティアをしたいと思っていました。だから高校も工業高校を選び、図面や設計、デザイン、金属工芸から木造工芸まで広く学びました。当時は、大工みたいなことをしたかったんですね。

Q. すごいですね。高校行く前から着目点がちがいますね。

些細なことなんです。ちょうど高校入る前に自宅を新築したのがきっかけで、建築やインテリアに興味をもったんです。

Q. 最初の配属先は海上自衛隊で?

事務官ですが、基地に配属されたり、市ヶ谷の防衛省勤務だったりと、2~3年のサイクルで転勤しています。最初は千葉の館山で人事の補佐を担当しました。その基地に所属されていた自衛官が国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)へ国際平和協力隊員として派遣されて、人事の側面から補助しました。奇遇にも今は私が内閣府のPKO事務局へ出向しています。

Q. ご自分もいつか国際平和協力隊員として・・・と想像することありますか?

今は、全然(笑)! ただ現地での活躍が報道されると、嬉しいですね。みんな頑張ってるな、という感じ。先日も、PKO事務局からスーダンの住民投票監視団として派遣された研究員さんがテレビに出てて、うわ! スーダンってこんなところなんだって。あんなところに、いつもオフィスで顔を合わせる研究員さんが働いてるってびっくりしました。私自身は補佐業務に向いていますね。自衛隊の世界は規則も上下関係も一般社会以上に厳しいかもしれません。そういう中でも周りとうまく調和して、でもただのイエスマンじゃなく、自分の意見を持って仕事を進めている人を見ると、素敵だなと思います。

Q. 海外に自分が赴くかどうかは別としても、国際平和協力業務を遂行していくうえで、濟陽さんのようにしっかりとした方が補佐をして“お家”を守ってくれるからこそ、みなさんが海外で活躍できるんですよね。

濟陽寿子

デスクワークなので、残念ながらいったん海外へ赴任された方の活躍は報告資料で知るくらいです。だから自分の業務との関連性を日ごろ意識しづらいですね。でも国際平和協力業務で派遣される方を見送ったりする時もそうですが、自衛隊っていろいろな行事があるんですよね。そういうのに自分も一緒に参加したりして、チームとして一体感を持ったとき。そんな瞬間、好きですね。いつも作業着の自衛官が礼装に着替えて、式典の中でピシッと動きが揃うだけで、わくわくしてしまいます。数年前の叙勲式なんか、受章者のアテンドについたんですが、同僚から本当にイキイキしてたよって言われました。

Q. イベント好きですね。防衛事務官として一番初めに関わったイベントの思い出って?

盆おどり(笑)!!私が勤務していた自衛隊の基地では、定期的にある夏祭りイベントなんですが、まわりの住民の方に基地が一般開放されるんです(写真右)。女性自衛官といっしょに盆踊りの練習を毎日お昼時間にみっちりやりました。これも業務の一つなんですね。しかも真剣に。

Q. なるほど、女性自衛官でなくても、男性自衛官もいればもっと楽しかったのでは?

そうですね。今は一緒なのかな~? でも自衛隊のチームワークはすごいんですよ。盆踊りにせよ、叙勲式にせよ。チームとして動ける人、チームメートに気配りの出来る人間になりたいです。

Q. 自衛隊文化ってありますよね。私も勉強途上ですが、イベントなんかではその特色がよく出てくるんでしょうね。

ええ。人を見送ったりするとき帽子を振る“帽ふれ”とか。海上自衛隊は敬礼が艦上と陸上用の2パターンあって、船内は限られた空間なので敬礼も小さくします。それに、ラジオ体操をちょっと崩してアレンジをきかせたような、自衛隊の体操もあるんですよ。これは採用された時に体で覚えさせられました。その後も研修に行った時に舞鶴でもおさらいしました。

Q. それって、今も身についてるんですか?

身についてます(笑)!

濟陽寿子

編集後記

それでは海自の体操をみせてくださいとの一言に、さっと立ちあがった。自分をさらりとさらけ出すことのできる女性は素敵だなと思った。小さな会議室の一角で、ラジオ体操との違いを小柄な体で教えてくれる濟陽寿子さん。なんだかんだ言っても防衛出身、反応が早い。「和裁、洋裁、編み物に料理。畑ですかここは?ってくらいの規模の家庭菜園などを作ってしまう」、要するになんでもこなせる女性が目標。彼女なら、なれるでしょう。友人の結婚式に作ったウェルカムボードがその証明(写真 左)。


2011年2月25日、内閣府国際平和協力本部事務局にて
聞き手:国際平和協力研究員 新野智子

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