小池 恵:国際平和協力業務に携わる女性たち

国際平和協力業務に携わる女性たち(第8回)

小池 恵

小池 恵(こいけ けい)
防衛省  人事教育局 人材育成課  
防衛部員 

  • いま休みが取れたら?
    →暖かい国に行って、一人でぼーっとしたいです。
  • 直したくない癖は?
    →どんな状況でも「何とかなるよね。」と前向きに考えること。
  • 尊敬する理想像は?
    →自分の言動に責任を持てる人。いつも相手の立場に立って物事を考えられる人。

Q. 下町生まれの江戸っ子と伺いました。

江戸っ子ですよ! 浅草生まれ浅草育ちですので。言葉遣いもべらんめえ調ですし(笑)。下町では、隣近所同士ずっと昔から知り合いで、人間関係も濃いほう。一人で部屋にこもりながらこなす仕事よりは、大勢の人々の中で様々な人間と日々関わりながら前に進めていく方が好きなのは、下町育ちが影響しているのかもしれないですね。お祭りが欠かせない文化の中にいたせいか、男臭い雰囲気も嫌じゃないんです。

Q. そんな小池さんが、防衛省に入られたきっかけは?

ベタすぎて恥ずかしいんですけど、「国を守る」ってすごく大きいことじゃないですか。国家の根幹に関わる仕事に携わることで、何かしらこの私でも世の中に貢献できるんじゃないかって。実際に入省してみて、防衛省はとても大きな組織ではあるんですけど、意外と家庭的な雰囲気もあるんですよ。

Q. 現在、人事教育局の人材育成課で勤務されていますが、PKOをはじめ、自衛隊の国際平和協力活動に派遣される要員の教育を担当されているそうですね。

はい。現在は、平成22年3月に防衛省の統合幕僚学校の下に新設された、国際平和協力センター別ウインドウで開きますの業務を主に担当しています。国際平和協力センターは、人材育成の分野において、国際平和協力活動への対応能力を強化するための組織として設立されました。平成23年10月に第1回目の国際平和協力基礎講習を実施して、第2回目をちょうど今開講しているところです。また、同じく昨年12月には第1回「国際平和と安全シンポジウム」を開催し、教育だけでなく研究分野にも力を入れています。平成24年度からは、さらに専門的な教育も行っていく予定で、現在はちょうどこの準備に取り組んでいるところです。

Q. 各国にはPKOに関する専門教育を行う「PKO訓練センター」がありますね。現在派遣されている日本のUNDOF司令部要員(17次)も、マレーシア及びバングラデシュのPKO訓練センターで研修を受けました。今回の基礎講習も受講希望者が多かったそうですね。

そうなんですよ。こちらの予想以上に受講希望者が多くって。今は、国際平和協力活動に関わりたいという志望動機から、自衛隊に入ろうとする人がすごく多いらしいですね。例えば航空自衛隊でも、人道支援で活躍する輸送機パイロットの志望者が増えたと聞きました。昔なら、若い人は戦闘機のパイロット、「トップガン」の世界に憧れるところなんですが(笑)。自衛隊のPKO派遣が国民一般に広く浸透しているのを、こんなところからも感じます。

Q. 受講者の方からの反応はいかがでしたか?

お陰様で第1回目の基礎講習がとても好評だったんです。すでに国際平和協力活動業務に何らかの形で携わってきた方からも、実務の基礎を固めるという意味で非常に有益だったという感想を多く頂きました。自衛隊の中には様々な教育機関があって、普段から各種の教育を行っているんですが、PKOを始めとした国際平和協力活動についての知識が、すーっと頭の中で体系的に整理されたみたいです。こういった受講者の声を励みに、今後もより一層充実した教育を行っていきたいと思っています。

Q. 現在、南スーダンへの施設部隊派遣が順次始まっています。自衛隊がPKOの舞台でより活躍していくために、どのような取り組みが必要だと思いますか?

難しい質問ですね(笑)。PKOへの派遣前教育は現在内閣府PKO事務局(国際平和協力本部事務局)でも行っていますが、自衛隊にはこれまで20年間にわたる国際平和協力活動で得た多くの経験やそれに基づく教訓などがあるので、国際平和協力センターでの教育を今後より大きな柱にして、より重層的な教育を行っていくことが必要ではないでしょうか。こういった教育を通じて各ミッションの背景や全体像を十分に理解し、より大きな視点から国連のブルーベレーを被ることの意義を確認することは、派遣される隊員の方々のモチベーションを高めることにもつながるのではと思っています。

Q. さて、小池さんのプロフィールを拝見すると、防衛装備品関係のご経験が長いんですね。昨年までニューヨークで3年間勤務されていたそうですが、どのような仕事をされていたんですか?

自衛隊の任務に必要な防衛装備品ってとても要求水準が高いものが多いのですが、その中には国産品だけではなく、海外からの輸入品も数多くあるんですね。そういった装備品を調達する際に必要なコスト情報の収集のため、ニューヨークを拠点にアメリカ東部やヨーロッパ地域の数々の海外メーカーに出張して、取得予定の装備品に関する価格などの調査を行っていました。防衛省って、いろいろな仕事があって本当に飽きないですよ(笑)。

Q. これまでの防衛省勤務で、何か思い出に残っているエピソードはありますか?

数年前の話ですが、約1ヶ月間の海上自衛隊の外洋練習航海に同行したことがあるんです。この航海は、幹部候補生学校の課程を修了した初級幹部を対象とする実習なんですが、護衛艦に乗って江田島から沖縄やジャカルタまで行きました。当時、護衛艦ってほとんど自動で全部動くものだというイメージを勝手に持っていたのですが(笑)、実際は全く違うことにとても驚いたのを覚えています。機関室があり、指揮所があり、外でも障害物がないか常に見張っている人がいたり。24時間、様々な任務を負った隊員がそれぞれ所定の位置にちゃんと張り付いて自分の任務を遂行しないと、護衛艦は正確に進まないんです。この体験は、自衛官の方々の現場での任務を理解するうえで私にとって本当に勉強になりましたし、二度と体験できないとても良い機会だったと思っています。
それに航海中、私は全く船酔いしなかったんですよ。男性でも酔ってしまう人は本当に辛くて大変なんですが、私はまったく平気で。自衛官のおじさまには「君、向いてるね! 海上自衛官に転換した方がいいんじゃないの?」って言われました(笑)。

Q. それは、貴重なご経験ですね!今後、取り組んでみたい仕事はありますか?

PKO事務局に出向してみたいですね(笑)。今まで他省庁に出向したことがないので、一度他の役所で仕事をしてみたいなと思います。

Q. 是非、インタビューに載せておきます(笑)。PKO事務局では、出向者にも各省庁のカラーが何となく出ていて面白いですよ。

私、防衛省っぽいって言われたらどうしよう! 「小池さんって、やっぱり装備品オタクなんじゃないの?」とか言われちゃったら嫌ですね(笑)。

Q.女性が少ない職場だと思いますが、これから防衛省を目指す女性にメッセージをお願いします。

事務官も自衛官も、最近は女性がだんだんと増えてきていますし、おすすめの職場だと思いますよ。防衛省の業務は幅広いですから、必ず自分に合った、そして自分の能力を発揮できる仕事が見つけられると思います。実際やってみて、「この仕事、意外と自分に向いているかも。」と新たに発見することもありますしね。固定観念にとらわれず、新しい分野にもどんどんチャレンジしていく気持ちを持った女性であれば、きっと防衛省はいろんなチャンスを与えてくれるはずだと思います。東ティモールに派遣された栗田さんのように、PKOの現場で活躍する女性自衛官ももっと増えていってもらいたいですね。

小池さん

編集後記

小池さんはまさに「江戸っ子」。ちゃきちゃきした人柄で、この賑やかな雰囲気を紙上で伝えきれないのがかなり残念です。インタビューでは「深く考えすぎない性格」と何度もおっしゃっていましたが、言葉の端々に、時に自らを顧みず職務を遂行する自衛官への尊敬が感じられたのが印象的でした。当事務局への出向、実現するといいですね。

2012年2月2日、内閣府国際平和協力本部事務局にて
聞き手: 早瀬 真道、田中 極子(国際平和協力研究員)
撮 影: 堀川 拓郎

内閣府 Cabinet Office, Government of Japan〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)