現地からの声: 1年間の派遣を終えて

UNMISS司令部要員(施設幕僚)
3等陸佐 牧 正人


はじめに

私は、平成27年6月21日から平成28年6月20までの1年間、UNMISS(国連南スーダン共和国ミッション)への第7次施設幕僚としてミッション司令部の所在する首都ジュバに派遣されておりました。本投稿においては、この1年間の派遣を振り返り、施設幕僚の勤務について紹介させていただきます。

UNMISSエンジニアリングチーム:工兵課会議にて(筆者撮影)

1.工兵課中央エクアトリア州担当

施設幕僚は、UNMISSにおいては工兵課ミリタリー・スタッフ・オフィサーであり、「工兵課長の監督の下、工兵作業に関する業務調整、計画の作成及び作業の実行を監督・報告する」ことを主任務としています。私の着任当時の配置先は、歴代施設幕僚から引き継いだ中央エクアトリア州担当のスタッフオフィサーでした。後日談ですが、2016年2月にUNMISS内で一部組織変更等がなされ、現在この部署はジュバ地域担当となっています。この部署は、同じくジュバに派遣されている我が国の陸上自衛隊派遣施設隊へUNMISSが付与する工兵課タスクについて施設隊と直接調整する窓口です。その他に、バングラデシュ工兵隊への作業調整・タスク付与及びトンピンにおけるシビルエンジニア(営繕業務)の監督等も業務として実施しました。いわゆる「現場」であり、施設を新設する、道路を補修する等の現場における作業の監督等をしていました。

ここで現場における苦労を紹介させてもらいますと、まず日本と異なるアフリカの気候が挙げられます。南スーダンにおいては日々40度を越える炎天下のもと、派遣施設隊の隊員の皆さんがタスクに従事されています。私も作業現場に立ち会い、時には作業の中に混ざってその姿を見てきましたが、汗だくになって活動する隊員の皆さんの献身には本当に頭が下がりました。次に、5月~11月頃の雨季における連日の降雨です。南スーダンの雨季は、日本の梅雨のようにしとしと降り続く雨とは性格を異にし、短時間に集中して激しく降るスコールのようなものです。雨が上がって地面が乾いてきてそろそろ作業に着手できるかと思うと、また雨が降ってできなくなるということを何度も繰り返すことがありました。早くやってくれという依頼元からの要求への対応や計画の修正・部隊運用の再調整に悩まされました。

2.工兵課本課 ミリタリー・エンジニアリング部門

中央エクアトリア州担当として4ヶ月半が過ぎた頃、私は工兵課本課ミリタリー・エンジニアリング部門へ異動となりました。現場から離れ派遣施設隊と直接作業調整をすることがなくなりましたが、今度は、UNMISS工兵隊全体を見ることができるようになりました。ミリタリー・エンジニアリング部門の主任務は、各国工兵隊の運用について工兵課長を補佐することです。UNMISSに展開する工兵部隊は我が国をはじめ、バングラデシュ、中国、インド及び韓国の5カ国が派遣をしています。また、2016年6月から英国工兵隊が展開を始めており、6ヶ国体制となる予定です。私の主要な業務は各国工兵隊の作業進捗の把握及び各地域担当オフィス(との連絡調整でした。前述の中央エクアトリア州担当のように各地域には私の同僚であるミリタリー・スタッフ・オフィサーが配置されており、その地域に所在する工兵隊との業務調整・作業の実行状況の監督をしています。

次に、2015-16年度の工兵課の主要作業であるMSR(Main Supply Route:主要補給路)整備について紹介させていただきます。本事業は、南スーダン全域のUNMISSベース 、特に北部の主要都市であるベンティウ及びマラカルに部隊、物資等を輸送するために、ミッション司令部が所在するジュバから総計約1000kmの道路を整備するというものです。本MSR整備は工兵課タスクの中でも最重要事業に位置付けられています。北部のUNMISSベース[1]のプレゼンスを発揮するためには継続的な物資の補給が必要です。航空・河川輸送を使用することも可能ですが、それらを機能させる飛行場・河川港の整備のための器材・物資輸送は地上輸送によります。また、歩兵部隊のパトロールによる治安維持、UNカントリーチーム[2] 、NGO等の移動にも通行可能な道路は不可欠です。

果てしなく続くMSR(コダ付近:派遣施設隊担任地域)

写真のように各UNMISSベースを結ぶ道路はマラムと呼ばれる砂利混じりの赤土の道路であり、降雨や重車両の通行の影響を受けやすく定期的な補修がなければ通行困難となります。本事業は膨大な作業量であるとともに、UNMISSベースを離れての活動になりますので軍事要員である工兵隊にしかできない作業です。例年はその都度、必要に応じてその地域の工兵隊に実施させていましたが、今回が全工兵隊を一斉に全経路へ展開させる初年度となりました。本整備は長大な作業距離になるため、各工兵隊には通行困難な箇所のみのスポットリペア(部分補修)を依頼していました。それでも、派遣施設隊をはじめ各国工兵隊は日の出とともに出発して現場で作業し、夕刻暗くなってから宿営地に帰投する、あるいは露営して先へ先へ作業を進めるというハードなタスクを遂行しました。

[1]  UNMISSベース:UNMISSがジュバ、ルンベック、ベンティウ等の各地に設けている主要基地

[2]  UNカントリーチーム:国連PKOが派遣されている国で活動している、国連PKO以外の全ての国連諸専門機関・計画・基金等(参照:国連派遣前研修必須教材)

最後に

私は本派遣を通じ、国連における工兵作業の一端を学ぶことができました。1年間の勤務において異動がありましたが、幸いにも現場を経験した後のことでしたので、現場の苦労・困難を理解した上で本課にて勤務することができました。陸上自衛隊においても、国連においても、施設・工兵作業の基本は現場にあるということを認識し、施設・工兵作業への理解を深めることができました。

本派遣期間中、様々なご支援をいただいた内閣府PKO事務局、防衛省関係各位、在南スーダン日本大使館、国連における上司・同僚の皆様に感謝申し上げ、引き続き現司令部要員と第8次施設幕僚森口1尉へのご支援・ご協力をお願いし、本稿を終わります。

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