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国際平和協力本部事務局(PKO)
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カナダ政府主催「民軍協力オペレーター訓練コース(セネガル)」出張報告

平成25年4月
国際平和協力研究員
おかだ えつこ
岡田 悦子

 2月1日から3月4日の間、西アフリカのセネガル(首都ダカール)において、カナダ平和支援訓練センター(PSTC)主催の「民軍協力(CIMIC:Civil-Military Cooperation)オペレーター訓練コース」が開催され、私は同コースの講師として参加する貴重な機会を得ましたので、今回はそのご報告をさせていただきたいと思います。

コース記念撮影の画像

コース記念撮影

 同コースへの当事務局研究員の派遣は、日加次官級「2+2」対話別ウインドウで開きますにおいて、アフリカにおける平和維持能力の向上に貢献するための話し合いが行われたのがきっかけであり、昨年のタンザニアに続いて今回が二回目となります。

 今回のホスト国となったセネガルは、周辺国のほとんどが政情不安定な情勢が続いている中で、同国は一度もクーデターを経験したことがなく、過去の大統領選挙において、2回民主的な政権交代を果たしました。また、国連やアフリカの地域機構を中心としたミッションに部隊を多く派遣している国の一つです。

 ダカールに到着してから最初の1週間は、準備期間として、同コースが開催される軍事施設でのインフラ設備の準備、カナダから届いた荷物の引き取り、関係者との打ち合わせ、フィールドトリップ先の事前訪問等に充てられました。その後、2月11日~22日の2週間に本コースが実施され、2月25日~3月1日の最後の1週間に参加者の能力構築を目的としたワークショップが今回初めて開催されました。

フィールドトリップ先の事前訪問の画像

フィールドトリップ先の事前訪問:村長の家の前で。右端は管轄区域警察署長

 NATO型のCIMICとは、軍事目的を達成するのに必要な軍と民との間の連携協力であり、同コースは、初級コースではあるものの、参加者が現地でCIMICオペレーターとして活動するために必要な訓練を実施しています。CIMIC概論や武力紛争法等の知識系の座学は必要最低限にとどめ、会合の進め方やインタビュー方法など実践的な講義を行った後に、すぐに各グループ内に分かれて、演習を繰り返す形となっており、また、一日の終わりに行われるチームミーティングの中で参加者の疑問点を解消し、重要なポイントを復習する形となっています。このように、演習を繰り返し行うことで、自然にCIMICオペレーターとして必要なスキルを習得し、コミュニティレベル、特に現地政府関係者、村長などのキーパーソンや現地住民との関係性構築(リエゾン)を目的としています。

看護師と初面談を行う参加者の画像

看護師と初面談を行う参加者。なお、左端が通訳で右端は書記官

演習後には全員参加型の意見交換・討論の時間があるの画像

演習後には全員参加型の意見交換・討論の時間がある

 参加者は、34名(内、女性2名)でほとんどが軍人(内、1名はベナン外務省の文民)であり、階級も軍曹から中佐クラスと様々で、経験やバックグラウンドも違います。また、参加国は10か国で、中東からのヨルダン2名の他は、ホスト国であるセネガル16名を筆頭にすべてアフリカ諸国(コートジボワール、ジブチ、ナイジェリア、ナミビア等)となり、仏語圏から23名、英語圏から11名が参加し、昨年と比較して圧倒的に仏語圏参加者が多いことが特色でした。右は、同コースの運営に大きな影響を及ぼし、すべての参加者がきちんと理解できるように、参加者の英語力を考慮して様々な方法で英仏両用の形が取られており、カナダの英仏バイリンガル体制及び柔軟性が大いに発揮されたコースとなりました。

 PSTC教官は、同コースは双方向の成人教育であることを強調しており、同コースのメインとなるのが、演習でした。初日に、国籍や経験、英語力、階級等を考慮して、4つのグループに分類され、私は仏語圏(セネガル6名、ベナン1名、ジブチ1名)から構成されるグループのサブリーダーを担当しました。演習は4種類からなり、最初の演習は自己紹介の仕方などごく基本的なことから始まり、次第にインタビューの方法、難しい人への対応の仕方とレベルアップしていきました。私も、軍によって自宅を家宅捜査された際に全財産が入った箱を紛失し、軍に対して憎悪感を抱くムスリムの女性を演じ、CIMICオペレーターとして情報把握を行う参加者に対して泣き叫んだり、賠償などを要求したり強硬な態度で演じました。

担当チームでの写真の画像

担当チームでの写真、右前はチームリーダー

ロールプレイで難しい人役を演じる岡田研究員の画像

ロールプレイで難しい人役を演じる岡田研究員

 演習の最後は、グループ毎にダカールから車で1時間半程の村に直接赴き、2日間、実際に地元住民を相手に、参加者はゼロから情報収集をし、CIMIC活動を行いました。村のキーパーソンである村長、イスラム導師、小学校校長、看護師等と会合を持ち、必要な情報を収集した後に、即効性事業(Quick Impact Projects)として学校用品の供与がPSTC教官によって行われました。また、後日、指揮官に対するブリーフィングが行われました。

村長との会合の画像

村長との会合。写真のように自然と村人や女性たちが周りに集まってくる

PSTC教官によってQIPs(即効性事業)学校用品の供与式が行われたの画像

PSTC教官によってQIPs(即効性事業)学校用品の供与式が行われた

指揮官に対するブリーフィングを行う参加者の画像

指揮官に対するブリーフィングを行う参加者

 最終週の能力開発ワークショップは、参加者に対して教官としての心構え及びスキルを実践を交えて伝授し、最終的に参加者が各自選択したテーマ(武力紛争法、交戦規則、平和維持活動)に基づくプレゼンテーションが行われました。最終日には、閉講式が行われ、参加者34名全員に対して修了書の授与式が行われました。

 私の同コースにおける役割は、数少ない文民の立場として、人道機関における民軍協力や国際機関・NGO概論に関する講義を行ったり、担当チームのサブリーダーとして、参加者が行った演習に対するコメントやアドバイスを行ったり、有益な経験をシェアしたり、時には通訳をしたり、メンター的な役割も果たしました。

講義を行う岡田研究員の画像

講義を行う岡田研究員

  私自身、2010年~2012年の約2年間、在セネガル日本国大使館に専門調査員として勤務しており、1年ぶりに同国を再訪したことはとても幸運なことでした。2年間の勤務経験を通じて得た片言の現地語ウォロフ語やイスラム教、文化、政治等に対する理解は、同コースにおいて大いに活かすことができました。

 また、PSTC教官は、いずれもアフガニスタンやボスニア等の海外ミッション経験者で講師経験も豊富であり、チームワークも素晴らしく、すぐにチームの一員として気持ちよく働くことができました。3週間の長期のコースとなりましたが、1日中参加者と過ごしながら、日々、新しいスキルを得ながら成長していく参加者を見ることはとても嬉しく感じました。

カナダ防衛駐在官の画像

カナダ防衛駐在官、PSTC教官、セネガル軍リエゾンオフィサー及びタンザニア軍教官達>

 今回の出張を通じて、PSTC教官、セネガル軍教官、タンザニア軍教官及び参加者をはじめ、日本のアフリカ平和構築に対する支援に関して幾度となく謝意が述べられ、日本の支援に対する認識の大きさを実感しました。また、人材育成という観点から、当事務局から講師派遣を行ったことは、研究員自身にとっても大変貴重な機会となり、右経験をいろいろな場所で活かしていくことができたらと思います。

 最後に、今回の出張に関し、ご尽力いただいた外務省、在カナダ大使館、在セネガル大使館、そしてカナダ政府関係者に改めて御礼申し上げます。

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