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国際平和協力本部事務局(PKO)
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第24回 国連PKOにおける民政官の役割と活動@PKOなう!

2012年9月14日
国際平和協力研究員
とちばやし のりまさ
栃林 昇昌

中心となる3つの役割

 @PKOなう!第18回の拙稿「国連PKOにおける民政官」で述べたとおり、国連PKOにおける民政官 (以下、国連民政官) は、ほぼすべての国連PKOミッションおよび多数の国連特別政治ミッションに配置されています。国連民政官は、和平プロセスにおける重要なアクターとしての現地住民を支援するため、ミッション受入国の首都以外にも、同国内で広範囲に展開します。
 2008年、国連平和維持活動局 (DPKO) とフィールド支援局 (DFS) は、国連民生官の活動の根幹となる3つの役割を明らかにしました。[1]

  1. ミッションと現地住民との連携、現地情勢の監視、および現地住民の支援
  2. 信頼醸成、紛争管理、および仲裁支援
  3. 現地政府の機能回復・強化拡張支援

 これら3つの役割に沿って、国連民政官は直接的あるいは間接的にミッションのマンデートを実施することが求められます。

ミッションと現地住民との連携、現地情勢の監視、および現地住民の支援

 第一の役割は、3つの主な活動から成り立っています。すなわち、現地レベルにおいてミッションを代表し現地住民と連携すること、情報分析と報告、そして調整・支援です。[2]国連民政官は、現地住民の支援および能力向上を目指して活動します。[3]そこで、国連民政官には国連PKOミッションと現地住民との間の"橋渡し役"が期待されています。
 同時に国連民政官は、紛争終結後の現地情勢を正確に把握するため、国連PKOミッションのために情報収集、分析、報告を行います。国連PKOミッションのニーズに対応し、ミッションを支援するための情報収集と分析に責任を負っているのです。分析結果としてまとめられた情報は、報告書の形で共有されます。国連が「民政官がインパクトを与えるための重要な手段」[4]と表現していることからも、報告書がいかに重要かが伺えます。
 国連民政官はまた、調整と支援に関する活動も行います。民政官は、対立関係にある地元のグループを政治的紛争解決に導くための支援を行います。同時に、現地支援活動の効果を高めるために、国連PKOミッションと国連カントリーチーム (UNCT)、非政府組織 (NGOs)、その他のパートナーとの間を調整します。

信頼醸成、紛争管理、および仲裁支援

 第二の役割では、和平プロセスに対する前向きな理解を促進し、対立が暴力へとエスカレートすることを予防し、現地住民同士の政治対話の促進を目指しています。これらの目標から浮かび上がる国連民政官の活動の中心は、対立する当事者間の対話の後押しに置かれます。[5]
 加えて、日増しに重要性と認知度が高まっているのが、即効性プロジェクト (QIPs) です。即効性プロジェクトは、国連PKOミッションによって実施される小規模、低費用プロジェクトで、その結果が現地住民に裨益することを念頭においています。即効性プロジェクトは通常、信頼醸成のためのツールとして国連民政官によって実行されます。[6]

現地政府の機能回復と強化支援

 国連民政官は、すでに述べた4原則[7]、特にローカルオーナーシップ[8]と現地情勢への配慮を念頭に置いて活動しなければなりません。言い換えれば、現地政府への支援は最小限に留めなければならない、ということです。
 こうした側面を踏まえて、現地情勢の変化にも対応した支援を行うため、国連民政官は通常4つのアプローチを採用します。「普及」、「支援」、「促進」、「現実化」です。[9]「普及」とは、国連民政官による現地政府への働きかけによるアプローチですが、現地政府を主導するものではありません。「支援」では、直接的な技術支援および後方支援を行います。「促進」とは、戦略や方策を具体化する上での技術的なアドバイスにより現地政府を手助けします。「現実化」とは、現地政府が業務を遂行するための環境作りを支援します。[10]

 以上の役割と活動により、国連民政官は国連PKO活動による現地レベルの能力強化支援において、重要な任務を遂行しています。

[1]United Nations Department of Peacekeeping Operations and Department of Field Support.Policy Directives on Civil Affairs.United Nations, 2008, 2-4p.

[2]United Nations Department of Peacekeeping Operations and Department of Field Support.Civil Affairs Handbook.United Nations, 2012, 130-166p.

[3]栃林昇昌. "国連PKOにおける民政官"PKOなう! 2012-08-03 (第18回). (参照2012年8月31日).

[4]前掲 [2], 147p.

[5]前掲 [2], 167-184p.

[6]前掲 [2], 224-237p.

[7]前掲 [3].

[8]ローカルオーナーシップとは、脆弱国家や紛争終結国の政府や国民の能力開発、経済発展等に対する国際協力のアプローチの一つで、支援国・機関のやり方を押し付けるのではなく現地政府、国民に能力開発や経済発展等を主導してもらうというものです。詳細は、別稿を予定しています.

[9]前掲 [2], 197p.

[10]前掲 [2], 185-223p.

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