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国際平和協力本部事務局(PKO)
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第36回 国連PKO要員の行動と規律@PKOなう!

2012年12月14日
国際平和協力研究員
たなか きわこ
田中 極子

 これまで2回にわたり(第14回及び第30回)、国連PKOの任務において、「文民の保護」が重要な任務の一つとなっていることをみてきました。今回は、少し視点を変えて、国連PKOの要員が保護すべき文民に対して加害者となってしまうケースが生じた場合に備えて、国連や主要な国々がどのような取組みを行っているのかみていきます。

地位協定

 国連PKOが活動するときには、原則的に国連と受入国との間で、その地位や法的権利義務を詳細に記した地位協定(Status of Forces Agreement)を締結します[1]。国連PKOに派遣された軍事要員は、ウィーン外交関係条約に基づき、特権及び免除を害することなく受入国の法令を尊重することが義務付けられますが、その一方で、受入国の法律は、外国軍事組織の指揮命令系統や雇用条件等にまで適用されるわけではありません。そこで国連は、受入国との間で、軍の刑事管轄権に関することや、武器使用規定、指揮命令系統、準拠する国連マンデートなどにあらかじめ合意しておく必要があります。

裁判権の免除

 たとえば、日本も自衛隊の施設部隊を派遣している国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)の地位協定(PDF形式:5.2MB)別ウインドウで開きますによれば、PKO要員が刑事法犯罪の加害者となった場合、そのPKO要員は、UNMISS官憲によって逮捕されることがあり、UNMISSに武器等とともに引き渡されることが規定されています(第45条)[2]。南スーダン政府は、その際に、UNMISS特別代表に証拠の提出とともに通報しますが(第51条)、いかなる刑事法犯罪の場合でも、PKO派遣要員が、受入国の裁判権に服すことはなく(裁判権の免除)、その要員の派遣国の刑事裁判権に服します(第51条(b))。

規律維持に向けた取組み

 このような特権免除がありますが、PKO要員が犯罪行為を行うと、PKOへの信頼を損ない、ミッション全体の任務の遂行に悪影響を及ぼします。そこで、国連では2005年から、国連PKO局の中に行動と規範ユニット別ウインドウで開きますを設立し、3つの原則に基づく国連行動基準を策定しました[3]3つの原則別ウインドウで開きますとは(1)最高水準の効率・能力・高潔さ、(2)性的搾取・虐待に対するゼロ・トレランス(zero tolerance)、(3)行動規範の不履行に対する指揮官の責任です。また、軍人や警察官などの制服を着た要員に対しては、「10のルール:PKO派遣要員のための個人行動規範」別ウインドウで開きますを、さらに軍事要員に対しては「我々は、国連平和維持要員」別ウインドウで開きますと題する行動規範を定めて、PKO要員の規律の確保に取り組んでいます。同時に、国連PKOの派遣要員は、派遣前に義務付けられている国連派遣前研修必修資料(CPTM)をとおした研修において、行動と規範についてしっかりと理解することが求められています。

 さらに、第62回国連総会(2008年)は、国連PKO要員が、刑事法犯罪の加害者となった時に処罰を免れないよう、要員派遣国に対して適切な法整備を行うことを要請する決議(A/RES/62/63, 2008年1月8日)を採択しました。この決議に基づき、要員派遣国は、自国での取り組みについて国連加盟国間で共有することが奨励されています[4]

[1]1990年、国連事務総長は蓄積された地位協定の経験をもとに、受入国との包括的なモデル地位協定を発表し、91年には派遣国との間のモデル協定案を策定して国連総会に提出しましたが、いずれも多数国間条約として採択はされていません。したがって、現在も国連PKOの派遣に際しては、国連と受入国との間に個別の地位協定が締結される必要があります。(山田洋一郎「国際平和活動:いくつかの国際法的論点」外務省『外務省調査月報』(2010年/No,3))

[2]UNMISSの敷地内で刑事犯罪を起こした場合には、南スーダン官憲ではなくUNMISSの警務隊に逮捕されることがあり得ます。

[3]現在は国連フィールド支援局の中に位置しています。

[4]2008年1月の国連決議に基づき、第63回国連総会以降、毎年「Criminal Accountability of United Nations officials and experts on mission」と題する国連事務総長報告書が提出されており、国連事務総長に対して情報提供をした各国の国内法整備の状況が報告されています(A/63/260,A/64/182,A/65/185,A/66/174,A/67/213)。

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