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国際平和協力本部事務局(PKO)
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第93回  アフリカ早期展開支援の現場から(前編)

2016年7月15日
国際平和協力研究員
あらい りさ
新井 里彩

こんにちは、内閣府国際平和協力研究員の新井里彩です。
私は現在、陸上自衛官17名と一緒にケニアのナイロビで、国連PKOにおける施設部隊早期展開のための能力構築支援に調査・研究の一環として参加しています。
5月29日にケニアに到着し、開校から1カ月経過しての報告を致します。
このコラムでは、現在ナイロビでどのような訓練を行っているか、現場からの声をお届けします。


グレーダーの指導

国連PKOの活動に関する施設部隊の能力構築支援のニーズ

国連PKOミッションは、近年その性質を大きく変化させてきました。2015年に発表された国連PKOに関するハイレベル報告書でも指摘されていますが、現在のミッションには、インフラも整っていない地域に平和維持部隊を派遣しているものもあります。[1]

このような中、施設部隊はミッションで活動する国連平和維持軍にとって必要な基礎インフラを整備するために決定的に重要な役割を負っています。施設部隊が早期に展開できるかどうかで、その後のミッションが円滑にかつ効率的に実施されるか決まると言っても過言ではありません。[2]

しかしながら、施設部隊は高額な重機を必要としており、途上国はあまり多くの重機を保有していません。PKOのミッションの現場に持っていくことのできる重機が圧倒的に不足しています。また、自国内でも重機の不足により自国で隊員を十分に訓練することができないのです。たとえ、PKOに派遣できたとしても、途上国の隊員の技術レベルと先進国の隊員のレベルには大きな差が生じてしまうことになります。

国連三角パートナーシップ:アフリカ早期展開支援(ARDEC)の背景

この現状を鑑み、日本は2014年PKOサミットにおいて、アフリカの施設部隊への能力構築および重機の提供を通じた早期展開支援を行うことを発表しました。2015年の試行訓練を経て、2016年6月6日から7月29日までの8週間ケニア軍の施設部隊31名に対して、日本からは玉置宏行三佐を団長とした17名の教官と支援要員1名で構成された教官団が重機5機種(油圧ショベル、ドーザー、バケットローダー、グレーダー、ローラー)の基本操作訓練を実施しています。支援要員である私は、訓練の後方支援として、国連との調整や教官団の通訳を行っています。

ARDECの現地での様子

ケニア軍の隊員は、基本的な重機の知識は持っているものの、操作経験の少ない隊員が選ばれています。31名のうち、2名が女性です。

第1週目には、学科の座学を行いました。ケニアでも類似の座学を行っているとのことですが、日本では安全管理を非常に重視し、また学科でも機材の操作のコツも説明することから、隊員からは「学ぶことの多い授業だった。」との感想を聞くことができました。また、学科の内容について小テストを実施して知識の定着を図ります。

(左)学科の講義、(右)小テスト

第2週目には、重機の操作訓練に入りました。まずは重機の点検を行い、周囲の安全も確保するように指導します。その後、隊員は重機にエンジンをかけ、走行方法を学びました。1つの重機に対して2〜3名の教官がつき、丁寧に教えます。

(左)ローラの基本操作訓練、(右)ドーザの基本作業訓練

第3週目には、重機を使い、基本的な作業を練習します。また、整備訓練も同時に行っています。しかし、残念ながら雨が降ってしまいました。雨天になると、土が粘着化してしまい、重機で土を触れば触るほど、かえって訓練場が傷んでしまいます。そのため、重機での操作訓練と学科の両方を行いました。

(左)バケットローダによる土砂の卸下要領を展示する教官、(右)日本の井戸の作り方を説明する教官

訓練の前半最終週、第4週目は幸いなことに、晴天が続きました。雨天で訓練のできなかった第3週目の分まで、訓練しようと自衛官の指導にも熱が入ります。隊員のレベルも着実にステップアップしている様子が目に見えてわかるようになってきました。

(左)バケットローダによる積載要領を指導する教官、(右)油圧ショベルによる溝掘を指導する教官


訓練は残すところ4週間です。隊員たちが将来PKOの施設部隊に派遣され、活躍するための基本をしっかり習得するように、教官団一丸となって訓練していきます。


[1]  United Nations Secretary General (2015). Report of the High-level Independent Panel on Peace Operations on uniting our strengths for peace: politics, partnership and people.


[2]  Haq Ameerah (2015), ‘Challenges of 21st-Century Peace Operations in a United Nations Context’. Powles et al (eds). United Nations Peace Keeping Challenge: The Importance of the Integrated Approach. Massey University: New Zealand.2015

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